千歳の古い友人に、チャケ(仮名)という男がいます。 どれくらい古い友人かというと、もう幼稚園児の頃からの友人です。 チャケとは主に子供時代に、いろんな思い出を共有しました。 たとえば、二人で秘密基地とか作ったり。大抵作っている途中で飽きてきて、投げ出していたんですけど。 ある日、二人で秘密基地12号を作ろうということになりました。まずは、秘密基地を建てる場所から考え始めます。 「学校の...
千歳の古い友人に、チャケ(仮名)という男がいます。
どれくらい古い友人かというと、もう幼稚園児の頃からの友人です。
チャケとは主に子供時代に、いろんな思い出を共有しました。
たとえば、二人で秘密基地とか作ったり。大抵作っている途中で飽きてきて、投げ出していたんですけど。
ある日、二人で秘密基地12号を作ろうということになりました。まずは、秘密基地を建てる場所から考え始めます。
「学校の帰り道に建てよう」
というのが、最初の提案。今まで、家や学校からあまりにも遠いところに建てた秘密基地は、秘密基地に足を運ぶこと自体がだんだん億劫になっていき、気がついたらまるで恋に幼い恋人同士みたいに基地自体が自然消滅してしまっていたのです。
「風が吹かないところにしよう」
今まで作った秘密基地の中で、強風にあおられて破壊された基地がどれほど多かったことか。これも当然の条件です。え、風に負けない基地を作れって? 無茶言っちゃあいけません。
「屋根を作ろう」
屋根がないと、秘密基地の寿命は次に雨が降る日までになってしまいます。今まで作ってきた秘密基地の中で、雨に降られて駄目になった基地のどれほど多かったことか。
大まかにそんな感じの条件をあげて、基地を建てる場所を検討します。
で、一箇所、条件にぴったりした場所を発見しました。チャケの自宅です。彼の自宅は親が不動産屋を経営しているということもあり、広くて、家の中に秘密基地一つくらいは楽に収容可能でした。家の帰り道どころかむしろ家そのものだし、なんてったって屋内だから雨も風も防げます。先ほどあげた条件を完全に満たす、まさに理想的な場所でした。
こうして完成した秘密基地は、電気までが通っているという、今までになく快適な秘密基地となりましたが、ただ一つ致命的な問題がありました。
その問題には、実は千歳は早くから気付きましたが、この際触れないでいることにしていました。しかし、チャケが耐え切れずついに口にしてしまったのです。
「これって、どこら辺が秘密な基地なんだろう……」
確かに、夕方になったらお母さんが「ご飯よ」と呼びに来るような場所にある基地に、秘密もへったくれもありません。
千歳は秘密基地の中でピコピコと、チャケが最近買ってもらったばかりのファミコンをプレイしながら思案します。千歳の家にはファミコンないので、友達とこうして秘密基地で過ごす時間が今まで以上に楽しくて仕方がありませんでした。しかしチャケはファミコンよりも、秘密基地が全然秘密基地っぽくない事の方がずっと気になる様子です。
「……うーん、確かにこれじゃどこら辺が秘密基地なのか謎だね」
「謎だろ? 謎だらけだろ? これじゃ意味なくない?」
「よし、じゃあこれからはここを謎の秘密基地と呼ぶことにしよう」
謎の秘密基地――その響きが、チャケはえらくお気に召した様子でした。
こうして千歳は狙い通り、謎の秘密基地で日々大好きなファミコンを楽しむ事が出来たのです。
今日のトレーニング内容。
千歳式腕立て伏せ―27回
千歳式腹筋―22回

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