夜が明けて、しばらくするとバスが止まり、そして降車すると、非常に馴染み深くまた懐かしい風景が千歳の眼前に広がっていました。
「ううう、高知駅だ(T_T) なにもかも懐かしい……」
もう8ヶ月ぶりになる高知駅です。
懐かしさに心の半ばを奪われながら、千歳は思いました。
たぶんこれから、こういう懐かしさを、自分は幾たびも味わうことになるのだろうな、と。
高知にこうして久しぶりに帰ってきても、4日後にはまたバスに乗り、横浜・東京の生活に戻ることは、帰りのバスチケットを千歳がすでに入手していることからも明らかです。
そしてまたいつか休みを取って高知に帰り、こうして高知駅で同じような気持ちになるのでしょう。
まあそれは良いとして、それから千歳は少しだけ本屋で時間を潰して、従兄弟のマキが働いている美容室が開店するのを待ち、そして美容室におもむきました。
「ようひさしぶりー」
「千歳、また(【カット報告2】参照)太ったねー」
(-_-メ)
そんなこんなで、伸びきっていた髪を多少さっぱりとカットしてもらいます。
「前髪はどうする?」千歳:「あ、長めに残して」
「その広い額を隠したいのね」ほっとけ(-_-メ)
で、まあそれなりにさっぱりとして美容室を出ると、次に鈴木家にお邪魔して、数ヶ月前から動かないというパソコンのメンテナンスを行います。鈴木家は千歳の古くからの友人である鈴木君と、鈴木君の嫁さんと、息子のニー君の3人からなる家庭で、ここのパソコンは千歳が使っていたパソコンパーツに、ちょっとだけ新しく購入したパーツを足して作り上げた、千歳ブランドのパソコンです。
もちろん故障したからといって、別に千歳じゃないと直せないというわけではありません。ただ、数ヶ月前千歳の不詳の弟をメンテナンス要員として派遣したところ、なんか治らなかったので、今回千歳が
帰省を利用して直しに訪れたというわけです。
そして数時間後、何とかパソコンが復活しました。
今まで鈴木家が取りためてきたニー君のかわいい写真のデータもちゃんと残ってます。よかったです。
しかしニー君、前(8ヶ月前)に見た時はまだハイハイしか出来なかったのに、いつの間にやら立って歩いているではないですか。しかも、この人懐っこさはなんですか!? 千歳、ニー君の満面の笑みにちょっぴりときめいてしまいました。しかしニー君の顔が鈴木君に瓜二つだったので、なんとなく複雑な気分です。
で、ニー君にうながされるまま、あまり小さな子供に慣れていない千歳は戸惑いながらも高い高いやら、飛行機やらをして遊んであげます。すると後で、ニー君がビスケットを分けてくれました。
お~サンキュー。その人懐こさと優しさを、いつまでも失うんじゃないぞ。
そうこうするうちに日はすっかり暮れて、鈴木君の嫁さんが、晩御飯とお酒を振舞ってくれて、千歳はすっかりくつろぎモード。で、気がつけばもう20時、別の友達との約束の時間です。
約束の場所まで鈴木君に送っていってもらい、千歳は幼馴染のダイと合流しました。
そのまま居酒屋にGO!
ダイは現在パチスロにはまっているとの事。この2ヶ月間で50万くらい勝ってるそうです。
「ここんとこ、毎日パチンコ屋に行ってるよ」「勝ってるのはいいことだけど、その労力を他に使えば?」
「うーん、いちおう今転職先探してんだけどさ。今の会社の給料減るばっかだし。けど、なかなか見つかんないし」「パソコンでも憶えれば?」
「パソコンねー」 そんな話をしていると、従兄弟のミワから携帯に電話がありました。
ミワはマキのお姉さんです。看護士をやっています。千歳は昨夜のうちに、今日時間が出来たら飲もうと誘っておいたのです。
「ち~く~~ん」 ……これは、酔っ払い方が尋常じゃありません。
「コンパは終わったのか?」
「うん! どうしたらいい~?」 ひとまず近くの待ち合わせしやすい場所を指定して、ダイを店に残して迎えに行きます。おお、こりゃ酔ってる酔ってる。
コンパのメンバーも一緒だったのでお別れの挨拶をさせて、改めて酔っ払い度をチェック。こりゃダメだ。簡単な掛け算もできません。
ダイに断ってミワを送ったあと、再びダイと合流。ダイは行きつけのスナックで楽しそうに呑んでいました。
それからまたいろんな話をしながら飲んで、気が付けば日付が変わって2時。じゃあ帰ろうかと、弟に車で迎えにこさせ、その車に乗って帰ります。ちなみに弟へのタクシー代は2,000円です。
それから風呂に入って、すぐ就寝。まどろみの中、千歳は気がつきました。
あ、まだ結婚式のスピーチ原稿書いてない!
ときすでに遅し。